菊地 芳隆さんの所有するめずらしいトライアンフ タイガーカブ(200t)です。
ホンダが新しい50tを発売する時にこれから名前をマネして「スーパーカブ」に
したというウワサもあります。
Tタイガーカブ≠ヘ、1954年のデビュー以降20年にわたり数多くの派生モデルを生んでいる。そもそも、2年前に先行リリースされていたT15テリアの兄弟車としての出生だった。エンジンはOHV199t単気筒。テリアではオプションとされていた、デュアルシートとピリオンフットレストを標準装備。また、カラーリングもテリアとは異なりフューエルタンクと前後フェンダーは、ブルーにペイントが施されていた。1956年モデルは、プライマリーチェーンのピッチが3/8→1/2インチと幅広になり、ビッグタンクも採用された。タイヤは3.00×19→3.25×16インチとなる。翌年、プランジャー式リアサスペンションは、フレームにピポットをもつ形式に、またフロントフォークも油圧ダンピング式に装換された。リアブレーキにはトルクステイも取り付けられ、足周りを強化。エンジンのロッカーアームボックスにフィン加工が施され、放熱性を高めた。そして、コンペティション仕様T20C≠焜宴Cンナップに加わる。タイヤはコンペティショントレッドで、前後タイヤは19/18インチ。アップマフラーが標準装備とされた。フロントフォークにはブーツカバーが、クランクケース下にはエンジンガードが付けられた。センタースタンドは未装着。ギヤ比は全体的に低めに設定された。
1957年、T20タイガーカブに、アメリカ輸出仕様として2バリエーションが追加された。このT20CA∞T20J@シ車は、ローレベルに装着されたエキゾーストシステムとロードタイヤを特徴としている。T20J≠ヘ、キャブレターの口径を小さくし、5psパワーを落としたジュニア向けモデル。1958年には、デュープレックスプライマリーチェーンに、キャブレターはアマル製からゼニス製に変更。
翌年、スタンダードモデルのT20に巻きスカート型カバーが、車体中央部に装着された。スカートの両側には開口部が設けられ、オイルタンクとツールボックスが内側に隠されていた。フューエルタンクは大型化し、全体にビッグツインモデルのサンダーバードに似た雰囲気を漂わせた。また、T20Cは、オフロード仕様向きにリファインされ、モデル名もT20S≠ノ改められる。ナセル型ヘッドライトは小型独立タイプに変更され、スピードメーターはフロントフォーク上にマウントされた。
同年にはグループ企業であったBSAが、T20をベースに開発した249tのC15をリリースしている。1960年になると、T20のフロントホイールは17インチに変更。エンジン番号57617から、メインキャスティングの合わせ目がセンターから右に移動された。
1961年に、T20Sはトライアル仕様のT20T≠ニエンデューロ仕様のT20S/L≠ノ分割された。Sは、クロースレシオギアを採用。S/Lには、9:1のハイコンプレッションピストンが装着され、6500rpm/14.5psの出力を発生させた。また、両モデル共、タコメーターがオプションとして販売された。しかし、その装着にあたっては、ドライブギアとスピードメーターを共に収容するケースの取り付けが必要となった。この為、専用アウタータイミングカバーも同時に装着しなくてはならなかった。
さらに、アメリカ輸出モデルとしてT20W≠焜宴Cンナップ。これはT20Tのロードバージョンで、ヘッドライトが装着されたが、極めて販売台数は少なかった。
1962年、T20S/Lは、本国仕様T20S/H@A出モデルT20S/S≠ノ分岐した。エキゾーストシステムは、両車共にローレベルに配置。アップマフラーはオプションとして用意された。本国向けのS/Hは、よりスポーツロードスター風に仕上げられた。イグニッションシステムもバッテリー/コイル式に変更。ビルトイン式エアフィルターを採用し、フューエルタンクにはハーモニカ型バッジが付けられた。エンジンにおいては、クランクシャフトに変更を受けていた。メインシャフトは、プレーンからボールレースベアリングが採用され、オイルポンプ容量も増加。このエンジンはT20にも使用された。一方、輸出モデルのS/Sは、国内向けで使用されたゼニス製ではなく、アマル製32タイプキャブレターを装着。
この年は、中盤に入り、さらにモデルレンジが拡大された。T20S/Hは継続販売する一方で、さらにこのエンジンにマイナーチェンジを施した2台のモデルを発表。トライアル仕様のTR20≠ニスクランブラー仕様のTS20≠フ登場である。TRは低圧縮比ピストンとワイドギヤを装着し、逆にTSは高圧縮比、クロスギヤが採用された。エキゾーストシステムにも違いが見られ、TRには小型サイレンサーが付けられたが、TS20はオープンパイプ。また、TRに限りフットレストは少し後退している。ショートシートは両モデルに装着された。
1963年には、キックスターターシャフトのケース後部に穴が設けられた。通常はラバーで蓋をはめているが、クラッチレバーエンドにアクセスすることが可能となり、タイミングカバーを外すことなくケーブル交換が行えるようになった。また、放熱効果をねらってロッカーアームカバーにフィン加工が施される。そして、ロードモデルは、ナセル式ヘッドライト上のギヤインジケーターが外された。これはクランクケース上のプランジャーに変更され、直接カムプレートと連動している。
1964年モデルは、T20S/Hのエンジンガードが廃止されたこと以外、各モデル共に変更は見られない。シーズンの終わりにTS20は、モデルリストから除外されたが、後継モデルのT20SM≠ェ1965年から製造された。これはトレールモデルで、アメリカ向けはマウンテンカブ≠フ名で呼ばれ、車体はイエローにペイントされた。このカラーリングは荒野での走行時に、狩猟中のハンターから銃弾を受けることを避けるために施されたものである。また、T20S/Hはキックスターターが延長された。
型式 | T20TigerCUb |
生産開始年 | 1954 |
生産終了年 | 1966 |
シャシー | エンジン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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